VIXX - 桃源境の考察メモ
太陽は陽であり月は陰。太陽は男性であり月は女性である。対の2つが1つとなることこそが桃源郷である。対には必ず”境界”が存在するという意味での桃源"境"か、楽園である桃源郷と楽園ではないものの"境目"が桃源"境"か。
桃源郷＝桃源境
桃源郷(シャングリラ)とは、ユートピアとは似て非なる正反対のもの。対。
郷･･･ふるさと、帰る場所
境･･･分かれ目、境目、区切り
対に必ず存在する"境目"にも着目？
ユートピア･･･存在はしないが社会的思想に基づいた楽園
シャングリラ･･･外界から隔絶された地上の楽園＝エデンの園＝アダムとイブ
UTOPIAのライブの内容は西洋寄りで社会的。今回は東洋寄りで楽園に違いはないが、コンセプトごと対になっている(ちなみにエリュシオンは死後の楽園である)
「昼と夜が全て君なんだ」
「僕の中の君を探すんだ」
「君は近づき僕だけに染み込んでいく」
「君が吹いてきて僕が入って行った」
和訳ではあるが、歌詞も一体となる表現が多数見られる。
武陵桃源 桃花源記(簡易訳)
武陵の一人の漁師が川で迷い、桃の木の林を見つける。そこは桃の木以外は咲いておらず、花びらが美しく乱れ飛んでいた。進んだ先にはかすかに光が漏れる穴があいた山があり、穴の最初のうちは狭く人が通るのがやっとであったため、船を留めて進んだ。
進んだ先には、争いの世から隔離された平和で豊かな村があり、漁師は向かう家々で酒や鶏の料理を振舞われ迎えられた。人々は「我々の先祖は争いを避けここに住まい、外界には一切出ず今まで争うことなく平和に過ごしてきた」と話した。
漁師から世情を聞き、争いの世に村の人々はため息をついた。
漁師は数日村に滞在したのち、「ここは人に言うまでもない場所だ」と言われそのまま村を出た。またいつか訪れたいと漁師は目印を立てながら戻ってきたが、漁師を引き連れ国の長官がその村に向かおうとしても迷うばかりで、２度とその村に辿りつくことは出来なかった。
【桃】
- 漢字「桃」の「兆」は左右二つに離れるさまを表し、｢木＋兆」で実が二つに割れる木を意味している。
- 桃の発祥の地である中国では不老不死の象徴
- 桃の由来は真実(まみ)が転じたものが一番有力である
- 子孫繁栄、不老長寿、平和安泰も表す
- 桃の形自体も左右で対を成すものである
アダムとイブ的解釈も含むのであれば、桃とは桃源郷そのもので、口にしてはいけない禁断の果実的扱い？ラビが仙人であることは公式で言われていたため、桃を口にした者は不老不死の仙人となる？ケンの肩に描かれたアネモネの花言葉"真実”と桃の由来“真実”をかけている？
ともすれば桃＝桃源郷＝ケンで、桃源郷という概念的配役？または桃源郷に通じている川(水面)を見張る者？MVには銀の桃(黄金？)と白い桃の2種類が存在する？
MV全体を通してみただけでは分からないが、隠された性表現が多い。
”境目”とは、対の橋渡し的存在である。対には必ず”境目”が必要であり、それがなければ一つになることは出来ない。桃でいえば、左右の実の間の割れ目。桃は人間の尻の形とも捉えられており、武陵の漁師が入ったという穴は桃の間にあった穴で、その中こそが桃源郷だった。つまりは、漁師が川で行ったのはそういった行為であったとも解釈出来る。ケンの服が訳も無くはだけ肩が露出されているのも、その意味合いが含まれているのかもしれない。肩には花が書かれているが、花はしばしばそういった表現によく使われる。
日食表現も受精・着床的とも捉えられる。そう考えれば、桃とは女性を指すということにも解釈出来る。そうなると、桃に対し性行為が行えるのは男性である必要がある。ラビの性が男性であることは確定的？卑猥なイメージで語られるのではなく、性の違いにより一つになることが出来るという表現が重要。
【鹿】
- ツノのない鹿はメス
- 遊女の階級の一つ
- (ろく読み)帝王の地位、または政権や地位。
- 長寿の象徴でもある
武陵桃源に基づいた表現であれば、長官(地位がある者)が桃源郷の入り口である山の穴に近づいて来ようとしているようにも見える。霧で隠し、迷わせている。
陰陽的に考えれば、孔雀(オス)が傍にいたヒョギと、ツノのない鹿(メス)であることから、メス＝女性＝月と、オス＝男性＝太陽を表現している？鹿(女性)が桃源郷の入り口の番人ヒョギに訪ねてきた？
また、ティーザーではラビにのみ鹿が描かれていた。
道教の伝承に登場する仙人がしばしば乗騎とするのが白鹿である。
白くはないけど･･･。ラビが乗ってきた鹿？それかツノのない鹿を女性3人と見立てるのなら、ラビは3人の女性と関係があったような示唆？またはわかりやすく男性ということの強調？
【月と太陽】
日食には、 太陽の方が大きいため月を囲むように周りに環が見える金環日食、月が太陽を完全に隠す皆既日食の2つがある。金環は前者の時にしか見れず、逆にコロナやプロミネンスは後者の時にしか見れない。「桃源境」の文字が現れたのはどちらも見れた時のありえない軌跡。辿り付けることや見ることは到底叶わないもの、それが桃源郷。逆を言えば、そのありえない軌跡が起こった時にだけ桃源郷に辿り付ける、といった解釈も出来る。それか単純に、金環にせよ皆既にせよ日食が起こった時こそが桃源郷？もしくは、金輪日食か皆既日食か、どちらかが正解の桃源郷？
①着床表現
②禁断の果実を口にする表現
「人」と「桃」で、人が桃を咀嚼するさまを表している？または桃を手段として、「人」を「大きな何か」に取り込む表現。
また、ケンが見守る水の入った筒も、上から見れば日食のような形。日食を見守る存在？
日食や月食は古代から凶事として恐れられていた。特に太陽はすべての生命の根源であり、世界を明るく照らす重要な天体である事は古くから認識されていたので、その太陽が変形、時には全く見えなくなる日食は重大な天変として人々に関心を持たれて来た。神話の多くでは、日月食は複数の神秘的な力の間の対立や争いによって起こるとされた。
①月(女性)はレオ、太陽(男性)はラビ
上の写真は水面を意識して、縦に繋がるように見てみたら分かりやすい。不思議な形と色をした岩が浮かぶ水面が2人の境目。岩は、二つをつなげれば桃のような形をしている。また、その場合境目は黄金でラビが立つあの場所と同じ色である。
レオとラビは同じ足場であっても明暗が異なる。レオは暗めであり、夜である月を表現しているのに対し、ラビの周りは明るいので昼である太陽を表しているのかもしれない。その場合、レオは女性を。ラビは男性を象徴。
ラビは正方向では足場には座らず、水面を歩くシーンしか映らない。足場に座っている反対方向では重力は恐らく逆になっており、レオの方に気持ちが向いていないという表現ともとれる。正方向のレオには花は降らないが、水面に映った方のレオには花が降っているのは、レオ側に花が降ったわけではなく、水面の向こうの対の存在であるラビ側に花が降った？
花が降った＝仙人になったラビであり、桃を口にした＝ラビが他の女性と関係を持った示唆という解釈もできる。
歌詞には「君に似た赤い椿が嫉妬する」とある。赤い椿とはレオで、君とはラビのことを指していると考えると、ラビと関係を持った女性(桃)視点の歌詞であると読み取れる。女性と関係を持った太陽(男性)は、仙人になるという表現？
ちなみに椿の裏花言葉には罪を犯す女という悲しい由来も存在する。
このシングルでは誕生花が描かれたり特典にあったりと、根深い関係があるようにも思う。レオの誕生花は芙蓉。
花言葉･･･繊細な美、しとやかな恋人
芙蓉は美しい女性によく例えられる。朝咲き始めた花弁は白いが、時間がたつにつれてピンクに変色するなど芙蓉は色の変化が大きく、酔って赤くなるように酔芙蓉とも言われることから赤を表現している？嫉妬の赤？また、朝咲いて夕方にはしぼむ1日花であり、固体で見れば命は短い。MV中の白黒赤表現と関係？ケンの水槽に沈む花は芙蓉のようにも見える。
②ホンビン・ヒョギは桃源郷の仙人
マンネの2人に反射するケン。ケンが見守る水槽の反射によるものか、ケンという桃源郷の一部表現。
ヒョギの誕生花はラベンダー。
花言葉･･･沈黙、疑惑
桃源郷の穴の入り口の仙人？木は枝のみ。孔雀(オス)がいるため、ヒョギは太陽＝男性？ケンの水槽の入り口位置？女人専用、もしくは獣専用の桃源郷入り口？仙人には人から仙人となる場合と、獣から仙人(妖仙)となる場合があるため(なぜ獣を記載したのかは後に)
ホンビンの誕生花はリンゴ。
桃源郷に咲く花木の仙人。周りの白い囲いはケンの水槽の筒？男専用の桃源郷入り口？ (ラビがきた可能性があるため)
ケンの誕生花はアネモネ。
月も太陽も出てこないが、肩に描かれた花と乱れの女性示唆、水槽を棒と見立てた男性示唆のどちらともとれる？桃源郷の川を見守る者？桃源郷そのもの？俗世と桃源郷の境界？日食を見守るもの？ヒョギとホンビン同様木が生えている(松の木？)
③ラビの食べた桃は･･･？
ラビの誕生花はヒマラヤスギ。
花言葉･･･たくましさ、あなたのために生きる、 あなたを待つ、報われぬ恋
ラスト、黄金の布の上で桃をとってた手はラビ。ラビは桃を口にし不老不死となり、仙人となった。ただ、桃はよく見れば銀。
ホンビンが手に持つ桃も同じ銀。
桃源郷に向かったラビは、花を踏み荒らしホンビンから銀の桃を奪った？
桃源郷＝仙境
仙境とは俗界を離れた静かで清浄な所、神仙が住むような理想的な地を指す。 そこにいけば仙人同様になれる聖地を故事になぞらえ、桃源郷と呼ぶこともある。仙人の仙道の一つに煉丹術というものがあり、これは水銀を原料として不老不死の霊薬を作るとされる。霊薬とは、飲食すれば不老不死となるといわれた宗教上の薬である。
桃は、桃源郷の仙人によって水銀で作られたものであり、生物には有毒である。人であったラビが口にしたことにより、肉体は死に、魂としての仙人となった？淡く見えているのはかつての自分である太陽？(＝人間の男性だったころ)
白い桃はヒョギの手に。桃源郷で作られているもう一つの桃(というか本来の桃？)はこちら？捨てたのではなく、誰かに与えた？
④エンは･･･？
黒く、山か森の中にいるような表現。エンは人ではなく獣であった？途中、桃のような表現。エンは桃＝女性？または誰かに恋をしたような表現？桃を食べた？
白黒の韓服で明暗表現＝男女＝人間となるための儀式？または桃として作られている舞？銀の桃と同じ色のような上着ではある。
青の点が二つ見える。
ここでも青の狭間。メイキングを見ると、これは月の間であったため、エンも女性？
エンは鹿であった可能性が高い(だから影が黒い)
ラビ(男性)に恋をし、ヒョギの元に向かい、ヒョギが与えた白い桃を食べ、人の女性となった。
桃源郷の桃＝人の女性。
ともすれば銀の桃とは、人となったエン。
銀の桃を手にしたのはラビ。そして話題となった신비로워。2人で弧を描くこのダンスは勾玉と同じ陰陽を表している。
エンの誕生花はスイカズラ。
花言葉･･･ 愛の絆、友愛、献身的な愛
⑤ラスト
ヒョギの背負う太陽には、まるで月を取り込んだかのような透けが？
もう戻らない太陽を見上げるレオ？
まとめ
ケンは桃源郷(水槽)を見守るもの
ヒョギは桃源郷の入り口(水槽の穴)に立つもの(女性入口)
ホンビンは桃源郷に生える桃の木を育てるもの(男性入口)
エンは鹿から人間(女性)へ
ラビは太陽(男性)から月以外の女性(エン)と関係を持ち仙人へ
レオは月(女性)
LRはユニットも対極であることから月と太陽で、互いで半神をイメージ。だが太陽は月の対であることを離れ、桃源郷で見つけた(奪った？)銀の桃を食べ、仙人となる。一方の桃源郷では鹿であるエンがヒョギから与えられた白い桃を食べ同じく妖仙(獣が仙人となった姿)となり、それが銀の桃として表現され、ラビと桃源郷の世界で対または一体となる。最後は取り残されてしまった月が憂いを含んだ表情で幕。
極端にこう解釈するとなんとなく流れが綺麗にまとまるような･･･無理くり感もあるけど、桃源境のダンスの最骨頂は신비로워だと思うので、そこを中心に考えるとこのような解釈も割と間違いではないかと。MVも随所でレオが中心であることと、ラビのいる環境が大きく変わることなどから、ストーリーの主軸はこの3人であると考えていいのでは？
